猫が水をよく飲むのは病気のサイン?多水多尿のチェック方法も解説します

おうちの猫が普段より水をよく飲むようになり、病気かなと不安になっていませんか。ここでは可能性のある原因と、水を飲む量以外に確認してほしいことを挙げています。ぜひ原因解明の参考にしてください。

 

また、水をよく飲む「多水」と同時に、尿の量が多い「多尿」の症状があるときは要注意です。腎臓の病気が考えられます。多水多尿であるかを調べる方法も記載しておりますので、確認してみましょう。

 

病気の可能性

猫が水をよく飲むようになったら、病気の初期症状であることが考えられます。可能性のある病気は以下のとおりです。

 

1-1.慢性腎不全

猫が水をよく飲むようになったら、まず「慢性腎不全」が疑われます。老廃物を尿として流す腎臓の機能が、長く低下している状態です。腎臓の機能が低下すると、尿に流せる老廃物が少なくなります。溜まった老廃物を流そうと尿をたくさん出すため、飲む水の量が増えます。

 

また猫はもともと砂漠地帯に生息する動物であり、水分の摂取量は普段から少なめです。体内に水分が少ないと老廃物を尿として流せず、腎臓に負担がかかるので、猫は腎臓を悪くしやすい動物ともいえます。

 

慢性腎不全の場合、水を飲む量が増える以外に、尿の量が多い・色が薄いという変化がよくみられます。水をよく飲むようになったら、尿の量と色も確認してみましょう。

 

1-2.糖尿病などのさまざまな病気

慢性腎不全以外にも、以下の病気が疑われます。

 

・糖尿病

・臓器のどこかに炎症がある

・子宮蓄膿症(メス猫の場合)

 

ほかにも疑われる病気はさまざまです。初期症状として、水をよく飲むようになることが多いでしょう。

 

1-3.チェックしてほしい症状

まずは水をよく飲む以外に、以下の症状があらわれていないか確認してみましょう。

 

・元気がない

・食欲がない

・嘔吐する

・体重が減った

 

もし水をよく飲むこと以外にも、体調面の変化があった場合、病気がすでに進行していることがあります。至急、動物病院への相談がおすすめです。

 

病気以外の可能性

水をよく飲むようになった変化が、必ずしも病気が原因であるとはかぎりません。病気以外に考えられる原因をご紹介します。

 

2-1.食事の変化

缶詰などの水分量が多いウェットタイプのキャットフードから、水分量の少ない乾燥タイプのものに変わった、という変化はないでしょうか。ウェットタイプのキャットフードの水分量は全体の75%前後です。それに対して、乾燥タイプのものは全体の10%前後です。もしウェットタイプから乾燥タイプに変えたのであれば、食事から摂取していた水分を、水を飲むことによって摂取している可能性があります。

 

2-2.ストレス

猫がストレスを抱えた状態だと、自律神経の調整がうまくいかず、水を多く飲むことがあります。ストレスが原因だと考えられる場合は、ストレス源を探り、できるだけ取り除いてあげましょう。

 

2-3.夏の高い気温

暑い夏の日などは、冷たい水を飲んで体温調節することがあります。

 

多水多尿の判断

先述したように、水を多く飲むようになったら、まず「慢性腎不全」が疑われます。「慢性腎不全」の場合の特徴は、水を飲む量が多いこと、尿の量が多いことです。そこで、どのくらいの量を越したら「多水多尿」と判断してよいのかの目安をご紹介します。また、水と尿それぞれの計測方法も参考にしてみましょう。

 

3-1.猫の水分摂取量の上限

猫の1日の水分摂取量は、体重1kgあたり50ml以下がいいとされています。ただし、その日の気温などの状況によって、1日に飲む水の量は変わってきます。多くても、体重1kgあたり60mlを超えると、異常と判断していいでしょう。たとえば体重5kgの猫なら、1日の水分摂取量が300mlを超えると「多水」と判断します。

 

3-2.水分摂取量の測り方・計算の仕方

直接水を飲む以外に、食事のなかからも水分を摂っています。正確に1日の水分摂取量を計算するには、(直接飲んだ水の量)+(食事に含まれる水分量)を計算しましょう。

 

【直接飲んだ水の量の測り方】

計量カップで水を測り、空の水飲み用の容器に入れましょう。24時間後、飲み残した水を再び計量カップに入れます。24時間前と後の差が、直接飲んだ水の量です。ただし1日だけの計量では傾向がつかめないので、3日間は測ってみましょう。

 

【食事に含まれる水分量】

食事に含まれる水分量は、缶詰などのウェットフードなら全体の75%、乾燥タイプのものなら全体の10%で計算すると、おおよその計算が可能です。

 

たとえば150gのウェットフードなら、150×0.75=112.5ml の水分を含み、150gの乾燥タイプのものなら、150×0.1=15ml の水分を含んでいます。

 

3-3.猫の尿の上限

尿については、1日に、体重1kgあたり50mlを超えると異常とされています。たとえば、体重5kgなら、1日の尿の量が250mlを超えると「多尿」です。

 

3-4.尿の量の測り方

尿の量も、水分摂取量と同様に、1日だけではなく3日間くらい測定して傾向をみてみましょう。今回は、固まる砂タイプと、ペットシーツタイプのトイレの場合について解説します。

 

・固まる砂タイプの場合

新しい砂に取り替え24時間たったあと、固まった砂を取り出しましょう。別の新しい砂に50mlの水を落とし固まった砂の大きさと比べてみます。50mlの固まり何個分かを確認してみるといいでしょう。これでおおよその1日の量を調べることが可能です。

 

・ペットシーツタイプの場合

新しいシーツの重さを量っておきます。シーツを取り替え24時間たったあと、再度シーツの重さを量り、この差が1日の尿の量となります。

 

まとめ

猫が水をよく飲む原因には、さまざまなものがあります。もし食欲がないなどほかの不調もある場合は、病気が考えられるので、至急お近くの動物病院に相談しましょう。

 

今回、深刻な病気でなかったとしても、猫は腎臓を悪くしやすい動物です。加齢とともに腎臓の機能は低下していきます。一度腎臓の機能を失ってしまうと、もう二度と回復はできず、早期発見が大切です。

 

そのため、定期的に水分摂取量や尿の量を計測したり、お近くの動物病院での定期健診だったりをおすすめします。すみれペットクリニックでも「いぬねこドック」という詳しい健康診断を行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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