猫の歯が抜けた!年齢でみる症状と飼い主が行うデンタルケア

突然、愛猫の歯が抜け落ちると驚く方がほとんどです。病気や誤飲などの理由を考え、ご不安な気持ちになる方も多くいらっしゃるでしょう。ただ、猫の歯が抜ける理由はすべて病気に関係してくるとは限りません。年齢や時期、自然に抜け落ちたものかは愛猫の状況によって異なります。今回は、猫の歯が抜け落ちてしまう理由と、自宅でできる歯のお手入れについてご紹介しましょう。

年齢別にみる歯が抜ける症例

1-1.幼少期・永久歯への生え変わり時期

生後2週間ほどからあらわれる猫の歯は、乳歯です。そのため、再び生後3ヶ月から半年ほどで抜け落ち、永久歯があらわれます。この期間で突然歯が抜け落ちたときは、乳歯から永久歯への生え変わりである可能性が高いため、あまり心配する必要はありません。

 

猫を育てたことのある飼い主でも、以前の猫で生え変わりの様子をみていない方もいらっしゃいます。しかし、猫の歯の生え変わりを発見できることはまれなので、不思議なことではありません。

 

猫の歯の生え変わりは、乳歯が生えているときに永久歯も生えてきていきます。そのため、見た目に変化がみられず、生え変わる乳歯は猫がそのまま飲み込んで、排泄物として出してしまうことがほとんどです。

 

生え変わりの時期は、子猫がおもちゃや飼い主の手などに噛みつくことが増えたり、口臭がきつくなったりする時期です。生え変わりによって歯茎から出血をすることもありますが、5分程度で収まります。ただし、歯が途中で折れてしまっている様子が確認できるときや、出血がひどいときは病院に相談しましょう。

1-2.成猫期・病気が疑われる時期

成猫になってから歯が抜け落ちる場合は、なんらかの病気になってしまっている場合があります。今回は代表的な3つの病気をお伝えします。

 

まずひとつ目は、猫の口内に関する病気においてもっとも多くみられる、歯周病です。歯のなかにできた歯垢は歯石へ変化しますが、その歯石のなかは多くの細菌が活動しています。細菌が毒素を排出することで歯茎を弱め、その細菌と戦うために、免疫細胞が歯茎の組織も一緒に攻撃することで、炎症をおこしてしまいます。この炎症が歯周病へと発展してしまうでしょう。

 

歯周病は、腫れ・出血・口臭がきついなどの症状が起こりえますが、歯が抜け落ちることもあります。歯が抜け落ちるのは、かなり重度になっている可能性が高いでしょう。

 

ふたつ目は、破歯細胞性吸収病巣と呼ばれる、4歳以降の猫に多くみられる病気です。破歯細胞は乳歯を溶かし永久歯を生え変わらせる役割があり、この働きが異常をきたすと、歯根や永久歯までも溶かしてしまうのです。ひとつの歯にこの病気が発生すると、ほかの歯にも影響をきたします。発症する詳しい原因などは不明ですが、重症のときは口のなかで痛みが生じ、食欲がなくなったり、出血が発生したりするようになります。

 

最後は腫瘍です。口内や顎にあらわれた腫瘍が原因で、口内の構造が壊れ、歯が抜け落ちることがあります。良性腫瘍で歯が抜け落ちることはほとんどないので、悪性腫瘍であることが多いでしょう。代表的なものは、扁平上皮癌や線維肉腫などです。歯周病と共通する出血や口臭の症状以外に、食事に時間がかかってしまったり、かみ合わせがおかしかったりといった異変を感じることがあります。

1-3.高齢期・歯の支えが弱まる

7歳以上になると、高齢期になり歯が抜け落ちやすくなります。これは人間と同様に高齢になると歯を支えている土台が弱くなるためです。歯が抜けたとき痛がっている素振りや、腫れの症状がなければ自然現象のため、あまり心配する必要はありません。高齢期にさしかかったら、猫の歯に負担をかけないよう、シニア用のエサに切り替えるようにしましょう。

 

もし歯に異常が発生したら

まずは動物病院にかかり、歯が抜け落ちた原因を探してもらいましょう。かかりつけ医には、愛猫の年齢と気になった症状、そして違和感を覚えた仕草などを伝えます。早めに病院にかかることで、対策や治療を行うことが大切です、気になっている場合はすぐに受診しましょう。

飼い主ができる歯のケア

3-1.定期検診

歯の治療は状況によって麻酔をかけて行うため、愛猫の身体的負担がかかります。さらに、歯石除去手術は約5万円かかり、飼い主の費用負担も大きくなります。そのため、年に1回程度は歯の定期検診を受けるようにして、あらかじめ防ぎましょう。

 

3-2.歯磨き

歯垢が歯石に変化するのは、1週間以内とされています。歯石になってしまうと歯磨きでは取り除けなくなってしまうので、できるだけ毎日の歯磨きか、3日以内に1回の歯磨きを心がけましょう。

 

ただ、歯磨きを嫌がるようなら無理に行わず、口の周りを触られるとこから慣らしていきます。そして徐々に歯に触る歯ブラシを使うといった段階を踏み、歯磨きを習慣化させていくのもよいでしょう。また歯磨きシートや水と混ぜて利用できる液体歯磨きも流通しています。どうしても歯ブラシを嫌がる場合は、このようなアイテムを利用していきましょう。

まとめ

幼少期や高齢期以外の時期で歯が抜け落ちてしまうと、病気の可能性が高いでしょう。猫の口における病気のほとんどが歯周病ですが、なかには命に関わる病気も潜んでいます。どちらにしても猫の健康状態の悪化につながるので、早期の受診をしましょう。

 

すみれペットクリニックでは、歯科処置を行っており、歯石除去や歯肉炎処置の治療も行っております。歯のトラブルを取り除くことで、愛猫たちも快適に過ごせます。口内環境を改善することによって、口臭ケアもできることが多いため、病気だけでなく愛猫の口臭ケアでお悩みの方も気軽にご相談ください。

ページ上部へ