飼っている猫が下痢をしているのをみつけたら、どうしたらよいのでしょうか。すぐに動物病院に行くべきかもしれませんが、まずは家庭での治療を試してみたいと思うこともあるでしょう。そこでこの記事では、猫が下痢をする原因や、下痢をしたときの対処法をご紹介します。
猫が下痢をする原因
まず猫が下痢をする原因についてご説明します。
1-1. 下痢とはなにか?
下痢とは、便の形が崩れたり、水のようになったりすることです。通常量や回数が増えます。これはおもに腸内での便の動きが速くなり、水分や栄養分、電解質の吸収が低下することが原因です。
下痢は必ずしも病気ではなく、原因は多岐にわたります。短期間で治ることもあれば、長期間続き、その結果全身状態が悪くなることもあるので、注意しましょう。
1-2. 猫が下痢をしているかを判断する方法
普段からよくしつけられていると、猫は決まった場所で便をします。しかし、突然いつもと違う場所で便をするようになり、液体状の便をするようになっていれば、下痢になっているのは明らかです。
ただし食べ物の変化により、一時的に便の状態が変化することがあります。液体状の便が頻繁に出る状態が2日以上続く場合は、下痢と判断していいでしょう。
1-3. 猫の下痢の原因
猫の下痢は、多くの場合、口から肛門までの胃腸に炎症が生じていることが原因です。炎症の原因としては、細菌やウイルス、腸内寄生虫などの感染性微生物や、化学物質や有毒植物などの非感染性刺激物が挙げられます。
また、食事の特定の成分に対する吸収不良や、アレルギーが下痢の原因となることもあります。
1-4. 下痢の原因を特定する方法
下痢をしはじめた前後の情報を含め、獣医師に詳細な病歴を伝えることが重要です。クリニックに行く前に、時系列で書き出しておくと理想的です。最初に問題に気づいた日や、症状の進行状況など、できるだけ詳しく書きましょう。
とくに、過去1~2週間に猫が食べたものを記録しましょう。また便の回数、色、硬さ、匂いも貴重な情報です。さらに嘔吐や食欲不振、無気力、体重減少など、その他の徴候も有益な情報になります。
受診時に、新鮮な便のサンプルを持参すると参考になるでしょう。状況に応じて便を詳しく調べる検査をすることもあります。詳細な検査には血液検査、寄生虫検査、培養検査、X線写真などが含まれます。
下痢をしている猫への対処法
では次に、下痢をしている猫への対処法についてご説明します。
2-1. 猫の下痢で獣医師の診察が必要な場合
まず、獣医師の診察が必要となる状態をご説明します。猫の下痢の程度と、全身の状態を見極めます。比較的軽度の下痢で嘔吐もなく、多少量は減ってもしっかりと水分が摂れており、体調も悪くないようであれば、自宅での治療を試みるのが妥当です。
一方、以下のいずれかに当てはまる場合は、すぐに獣医師に連絡しましょう。
・猫が幼い、あるいは高齢
・基礎的な健康問題を抱えている
・元気がなく、反応が鈍い
・痛がっている、またはそのほかの気になる症状がある。
・頻回に下痢をしている
・下痢に血が混じっている、または黒くてタール状である
2-2. 猫の下痢の対処法
自宅で対応できると判断したら、どのような治療法を試すかを考えます。
・エサを変える
下痢をしている猫に、食べ物を与えるのを控える必要はありません。むしろ、腸管の自然治癒力を妨げる可能性があります。
しかし、猫の食事はシンプルにするのが一番です。おやつや食べ残しなど、追加の食事は一切与えず、毎日与えるキャットフードだけにしましょう。
最近食事を変えた場合は、以前に与えていたものに戻して、猫の下痢が治るかどうかを確認しましょう。新しい食事に含まれる成分が、猫と合わない可能性があります。
食物の吸収不良やアレルギーをもつ猫の多くは、低アレルギー食を摂ることで症状が緩和されます。どの低アレルギー食がよいかについては、獣医師に確認してみましょう。
・食物繊維
繊維質の少ない(消化のいい)食事で、下痢がよくなることもあります。
頻繁に下痢をするわけではないけれど、下痢をすると便の量が多いという猫には、繊維質の少ない食事を試してみるといいかもしれません。
・水分と電解質の摂取を促す
下痢をしている猫は、脱水症状を防ぐために、十分な量の水や電解質を摂取する必要があります。猫の水飲み器に新鮮で清潔な水を入れておき、鶏肉や牛肉のスープを薄めたものをもうひとつの容器に入れておくといいでしょう。
2-3. 薬を飲む
なかなか下痢が改善しない場合は、薬を使うこともあります。ただし、薬は獣医師の判断に従いましょう。下痢をしている猫に使える薬には、次のようなものがあります。
・プロバイオティクス
いわゆる整腸剤です。猫の腸管内の健康な細菌群は、正常な消化に必要です。腸内細菌が乱れると、下痢の原因が解決したあとでも、下痢が続くことがあります。プロバイオティクスは、猫の腸内細菌群を正常に戻すのに役立ちます。
・下痢止め
下痢止め薬は、獣医師の監督なしに猫に使用してはいけません。このほか、原因に合わせた薬を使用することもあります。
まとめ
猫の下痢が起こる原因や対処法をご説明しました。もし猫の下痢で困ることがあれば、すみれクリニックまでご相談ください。猫の状態を正確に判断し、適切な治療が提供できるように、まずはお話をしっかりとお聞かせください。